本日の補助輪外し


うちの娘はビビりだ。パパと同じで臆病だ。

 

補助輪付きの自転車を颯爽と乗り回し、カメラに向かってピースサイン。

本気モードで走ると世界の中野浩一よろしく、他の補助輪付きの子には誰にも負けない速さで越谷の県民健康福祉村、2キロの周回コースを走り回る。

 

 

「そろそろ補助輪外してみようか?」と、何度問いかけただろうか。

「ヤダ、絶対にヤダ。倒れたら痛いでしょ」

 

そりゃ確かに痛いだろうが、高校生になって補助輪付きのチャリ通学なんて学校中の笑いものだ。ママさんになって子供を乗せて補助輪付きママチャリでお買い物なんて市民の笑いものだ。その屈辱による痛さと今、膝をぶつけて痛いのと、どちらがより痛いのか、この子はわかっていない。

 

ある日、同じマンションに住む1歳上の子にバタリと出くわした時、「まだ補助輪付けてるの〜? わたしはイルカ組の時に取ったわよ」と言われてしまった。イルカ組というのは今のうちの子よりも1学年下の保育園のクラスだ。

パパと同じで臆病のくせにプライドだけは高いという難しい性質のこの子の自尊心が、お友達のこの言葉により傷つけられ、あれだけ拒んでいた補助輪外しに遅ればせながら至ったわけである。

 

 

さあ、外しましたよ。

 

 

「パパが後ろで支えてるから、安心して前を向いてしっかりとペダルを漕いでごらん」

 

とは言ったものの、中腰の姿勢でサドルを支え、軽く小走りを何度も何度も繰り返すと、腰痛持ちの中年メタボパパのほうが先にくたばるわけだ。

そんで、中腰小走りが限界となり、手を離そうものなら、

「ちょっとー、手を離さないでよっ💢」 と一喝。

 

 

やる気を削ぐわれ、「もうやめた」と言い残し、倒れた自転車をそのままに走り去りゆく我が子。待ってくれぇ・・・

 

乗れる日まで続く