<<モテねーよ>>



★マイケル・シェンカー (ex-UFO、SCORPIONS、MSG)

フライングVの代名詞。ツボを刺激しまくる泣きのギター。
残念なことだが、ドラッグに冒されていた頃が一番輝いていたか。

僕が中学1年生の頃、親にエレキギターを買ってくれと散々ねだった末、渋々了解をもらったのだが、Vの字型をしたフライングVの写真を見せたら、「こんなとんがった形は危ないからやめてくれ。」と。
まぁ、”エレキギター=不良”と反対されなかっただけマシかと、結局、無難なところで、すごく安いフェルナンデス製のストラトキャスターモデルを買ってもらったのが最初です。

”Armed and Ready” ”Doctor Doctor” ”Into The Arena” ”Captain Nemo” 
テクニック的に難易度は高くないので、ギター入門者の練習曲に取り上げられることが多いのだが、ギターで泣かせることまではいくら練習してもコピーはできない。それこそ彼の魅力であり、僕を含め、彼を『神』と崇める信者は少なくない。

アルバムを1枚ピックアップするならこれだ。

SAVE YOURSELF / MSG

前作、”PERFECT TIMING” でのギターを控えめにしたポップ路線の失敗から再起を賭けた入魂の一作。1曲目のイントロを聴いただけで復活を確信した。




★ウルフ・ホフマン (ex-ACCEPT)

まさかこの名前が出てくるとは思うまい。ヴィジュアル的に憧れてたってのもありますが。
金髪でサラサラの髪に、ウットリするようなブルーの瞳。
僕の髪の毛は太いし硬いしクセ毛なので、髪を伸ばすと”モッサリ”ってかんじになっちゃうわけで。
僕は両親を恨んだね。「どうしてあんたらは日本人らしい日本人の顔立ちなんだ。おかげでこっちは全然モテねーよ。」って。

ハードロック・ヘビーメタルといえばイギリスかアメリカのバンドしか売れなかった80年代中頃、ドイツ産として孤軍奮闘していたSCORPIONSの後継として生まれたACCEPT。後のHELLOWEENやGAMMA RAYに続くジャーマンメタルの道を切り開いた。
ウド・ダークシュナイダーの独特な金属声と、ドイツの象徴ともいうべき重厚な金属音、地響きコーラスに度肝を抜かされたものだ。
一時期は後述のリッチー・ブラックモアの後継者とまで呼ばれたウルフは、重厚なギターサウンドでありながら、ギターソロに”エリーゼのために”を取り入れるなど、クラシカルなフレーズを多用し、現代のネオクラ路線の礎を築いた人物といってもいいだろう。彼もまた、フライングVを愛用する。現在はカメラマンですかね? いつでも戻ってきてもらいたい。

アルバムを1枚ピックアップするならこれだ。

METAL HEART / ACCEPT

タイトル曲の”Metal Heart”は、飽きっぽい僕が初めて完コピを果たした曲である。
他にもスピードチューンの”Wrong is Right”、パワーバラードの”Bound To Fail”など隠れた名曲が多い。




★ジョージ・リンチ (ex-DOKKEN、LYNCH MOB)

ギターは手先ではなく、体全体で弾くものだといったかんじのジョージ先生。
奇麗なギターフォームとは思わなかったが、弾いて弾いて弾き倒すくらいの勢いが実に爽快であった。
残念なのは、DOKKENは彼のバンドではなく、ボーカルであるドン・ドッケンのバンドであったことで、ポップ指向の中、ギターパートは抑えられ、両者の確執は常に絶えなかったが、そんな苦境に打ち勝ち世に送り出した意欲作 ”Back For The Attack” は、よりハードに、ギターを前面に押し出した聴き応えじゅうぶんの作品である。

どうでもいい話しなんだが、彼は絶対に子供の頃はいじめられてたと思うんだな。

”リンチをリンチしよーぜ”

書かなきゃよかった。僕をリンチしてくれ。


アルバムを1枚ピックアップするならこれだ。

BEAST FROM THE EAST / DOKKEN

上述の”Back For The Attack”を発表後の日本公演を収録したライブ盤。
インスト ”Mr.Scary” では鳥肌が立つほど緊張感がひしひしと伝わってくる。




★イングヴェイ・J・マルムスティーン (ex-STEELER、ALLCATRAZ、RISING FORCE)

元祖・速弾きギタリスト、イングヴェイ。
「光より速く」。こんな題名の曲すら作ったほどだ。当然僕はコピーをする気すら起きなかったが、まったく無駄な動きの無い彼のピッキングを、ビデオで繰り返し観て研究した。

ピッキングスタイルは人それぞれだが、彼の場合は肘も手首も動かさず、さらに手も上下に動かさない。ピックを持った指しか動かしていないように見える。親指に重点を置き、円を描くように細かく。サーカルピッキングっていうんでしたっけ?
知ったようなことを書いてるが、僕は全然出来ませんけど。

彼から派生して多数の速弾きギタリストがその後に誕生したが、作曲センスの点では彼には到底及ばなかった。
オーケストラを連れてワールドツアーをしたこともあり、クラシックの血が流れる。

アルバムを1枚ピックアップするならこれだ。

SEVENTH SIGN / YNGWIE MALMSTEEN

ソロ名義で数多くのアルバムを送り出しているが、最もバンドとしての集合体を感じさせ、楽曲の質の高さではこれだと思う。サウンド的にも最もヘビーな仕上がり。




★リッチー・ブラックモア (ex-DEEP PURPLE、RAINBOW)

ストラトキャスターといえばリッチー。(エリック・クラプトンかもしれませんが。)(ジミー・ヘンドリックスかもしれませんが。)
様式美溢れる旋律は、上述のイングヴェイにも多大な影響を与えた。

DEEP PURPLE ”Smoke On The Water” のイントロ、”ジャッ、ジャッ、ジャー、ジャッ、ジャッ、ジャ、ジャーン” は、世界のギター人口の9割9分くらいの人がマスターしたんじゃないでしょうか。
でも、ギター屋さんでの試し弾きでこれを使うと初心者丸出しでカッコ悪いので、せめて”Burn” の ”ジャララララーン、ジャラララランラン、ジャララララーン、ジャラララン” を覚えておくと役立ちます役立ちません。

昔買った教則本によると、リッチーが初めてソロの部分で小指を多用したギタリストだったそうで、おかげで日本のヤクザ界からギタリストが1人もいなくなったという噂はありません。
しかし、小指を多用することにより、美しい速弾きを可能にし、ギターで奏でることが出来るメロディーの幅を更に広げることが出来たわけで、その功績は多大なものであるといえよう。

アルバムを1枚ピックアップするならこれだ。

FINAL VINYL / RAINBOW

1枚に絞るのは困難なのだが、歴代ボーカリストが全て収録されているライブアルバムとなればこれ。
”Over The Rainbow 〜 Spotlight Kid 〜 I surrender” と続く流れは何千回と聴いても痺れてしまう。11分にも及ぶインスト ”Difficult To Cure” のライブバージョンもこれに収録。




★ジョン・サイクス (ex-THIN LIZZY、WHITESNAKE、BLUE MURDER)

彼ほど陽の当たらないギタリストはいないのではなかろうか。
今一歩メジャーに成りきれなかったPRETTY MAIDSを、一躍トップへ押し上げた名曲 ”Please Don't Leave Me” は、元はTHIN LIZZYのフィル・リノットと彼との共作であったものをカバーしたものだ。
WHITESNAKE ”サーペンスアルバス” のプロモーションビデオではエイドリアン・ヴァンデンバーグとヴィヴィアン・キャンベルが弾いているが、実際はジョン・サイクスがレコーディング。
アルバム完成直後に脱退したのだが、皮肉なことにこのアルバムが大ヒット。全米トップの座に長いこと君臨し続け、彼らの名声は上がったが、ジョン・サイクスにとっては「不遇」の一言に尽きる。って僕は勝手に思っている。本人は印税ガッポガッポで喜んでるかもしれない。いや、きっと喜んでる。新車とか余裕で買えるし。
テクニックなんか関係無い、魂でギターを奏でる真のロックギタリストの一人。

アルバムを1枚ピックアップするならこれだ。

SLIDE IT IN / WHITESNAKE

”サーペンスアルバス” では売れ線の曲を採用したお陰で世界中で売れまくった。
しかし、ジョン・サイクスの真骨頂はその前作にあたるこれだと思う。
WHITESNAKEの本来の姿である骨の髄まで染み渡るブルーズロックには、魂を込めて奏でる彼ほどピッタリの男はいないと思うのだが、後年には、スティーブ・ヴァイがWHITESNAKEに加入したり、なんだかわかんなくなった。




★ランディー・ローズ (ex-QUIET RIOT、OZZY OSBOURNE BAND)

僕がランディー・ローズの名前を知った時、彼は既にこの世の人ではなかった。

彼もまたフライングV奏者であるが、レスポールも弾く。
白いボディーに黒いピックガード、金色ブリッジのレスポール。これがカッコよくて、現在僕が持っているレスポールも全く同じそれにした。エセ・レスポールではあるけれど。

若くして亡くなったので、世に送り出した作品自体が少なく、QUIET RIOT時代のアルバムも入手困難。彼のプレイを聴くにはOZZYの「TRIBUTE」アルバムがいいだろう。ギタープレイも然ることながら、人柄の良さまでもビンビンに伝わってくる。

みんなに愛されたランディー・ローズ。没後20年経った今でも英雄伝説は語り継がれている。

名前が似ているが、ポルノ女優であるトレイシー・ローズに僕はお世話になった。あぁ、ここまでの文章が台無しだ。

アルバムを1枚ピックアップするならこれだ。

TRIBUTE / OZZY OSBOURNE

20年前のライブを収録し、15年前に発表したアルバムだが、今聴いても古臭さはまったく感じられない。
ラストの曲、”DEE” の、物悲しいメロディーを聴いたら泣くしか術はない。




★トニー・アイオミ  (BLACK SABBATH)

暗く、そして重く。
そんな音楽を20年以上も作り続けているのがこのオッサン。BLACK SABBATH一筋で、今でも現役。
メタリカを筆頭に、スラッシュメタルにも多大な影響を与えたことは有名である。

こんなオッサンの真似をしたってモテるわけがないのに、どうして僕がBLACK SABBATHのコピーをしたのか。

それはギターパートが簡単だったからである。下手クソには嬉しい存在だったのだ。それだけだ。

アルバムを1枚ピックアップするならこれだ。

REUNION / BLACK SABBATH

BLACK SABBATHの初代ボーカルはオジー・オズボーン。
その彼がパートタイムではあるが、復帰ライブの模様を収めたライブアルバム。
時代は移り変わり、メンバーも歳をとってしまったが、やはり暗く、重い、ドロドロの世界。




★マーク・リアリ (RIOT)

この10人の中では最も知名度が低いのではなかろうか。
この人のギターは哀愁ある旋律を奏でることしかできないのかと思うほど、僕の心をくすぐる。それが彼の指癖なのかもしれない。僕の指癖はシャーペンをクルクル回すことくらい。

そんな哀愁旋律が大好きな日本ではウケがいいのだが、どうゆうわけか欧米では今一つパッとしないのである。
名曲 ”Warrior”は、山本リンダの大ヒット曲に似ているとかなんだとか、昔いってたなぁ。
それと、どのアルバムの写真を見ても、この人のヘアーはいつもキッチリしてるわけで、メタル用のカツラという噂。これさえあれば僕だってモテるのかもしれない。

アルバムを1枚ピックアップするならこれだ。

PRIVILEGE OF POWER / RIOT

前作 ”Thunder Steel” から、それまでの軽快なアメリカンロック路線からヘビーメタル路線へ転向し、まずまずの成功を収めた。
そして、次に発表したこの作品は、ヘビーメタルにホーンセクションを導入した問題作。メタルにラッパです。
ホーンに戸惑いを感じたが、哀愁メロディは相変らずなので、聴き込むほど良さが理解できた。




★高崎 晃 (LOUDNESS)

日本が世界に誇るギタリスト。
「アキラはオランダで一番人気のあるギタリストだぜ!」ってユーロバウンズのビデオの中でオランダ人が言ってました。
世界中のギタリストにも影響を与え、元Mr.BIGのポール・ギルバート(現・北風一郎)も影響を受けたその一人。

カッチリと構築されたギターソロ。ギター野郎の欲求に応え、次々と編み出される超難度テクニック。
ライトハンド奏法はエディ・ヴァンヘイレンだけのものではない。

ギターをピアノのように弾く両手タッピングを真似してみるも、不要弦のノイズだらけで真似だけに終わる。やっぱりギターはギターらしいフォームで弾くべきだ。

アルバムを1枚ピックアップするならこれだ。

SOLDIER OF FORTUNE / LOUDNESS

当時のアメリカでのセールスを意識したためサウンド的にヘビーさのかけらも無いのが残念であるが、キャッチーなメロディーが揃い、捨て曲の無いアルバムだと思う。しかし、アルバム発表時には既にLAメタルブームは過ぎ去っていたのでセールスは不発に終わりアメリカから失意の退散。
ギターテクニックは行くとこまで行き着いてしまい、結果的に高崎 晃のギターテクニック集大成といえるアルバムになってしまった。以後、悟りを開いたかのようにテク指向からインプロヴィゼーションの世界に浸っていくのである。あぁ、インド・・・


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