海南島旅行記 5

高校時代の友人が6月に結婚することになり、それはそれでおめでたいのだが、困ったことに披露宴でのスピーチを仰せつかってしまったわけで、極度のアガリ症のわたしは今から手のひらが汗ばんでる次第であります。

もっと困ったことに、極度の痴呆症のわたしは、その友人との心温まるエピソードが思い出せません。ひょっとしたら心温まるエピソードなど存在しないのかも
しれません。部活動の夏合宿で、女子シャワー室を覗いたり、修学旅行にて女風呂を盗撮し、先生にフィルムを没収されたりといった、若気の至りくらいしか思
い出せません。

半年後の披露宴までの長期プロジェクトってことで、今から台本作りに取り掛かるわけですが、腐ったみかんのわたしのことですから、時間を掛ければ掛けるほ
どネタ性が強くなってしまうわけでして、つまりは地獄絵図の様相を呈する友人代表のスピーチになることうけあい。新婦さんは離婚届の御用意を。

そんな結末になることはこのサイトの読者さんなら一目瞭然なんですが、その友人にはこのサイトのことを教えていませんでした。

今からでも教えるべきか、教えぬべきか、悩む今日この頃。

ってことで、旅行記。


1月2日(水曜)~3日(木曜) 4~5日目。

三亜を11時に出発し、5時間かけて海南島の表玄関、海口に到着。ようやく島を脱出できます。

フェリーに乗って大陸側に渡るわけですが、フェリーに乗り込むまでに2時間。乗り込んでからも出発までに1時間半。「どうして、こう、もっと、シャキシャキ動けねーのか、この野郎」、ってくらい待たされること、待たされること。

薄暗くなった18時半にようやく出発。そしたら今度は船酔いしたヤツが所構わずゲロ吐きやがって、「どうして、こう、中国人ってのはモラルがねーんだ、こ
の野郎」って一人憤慨していたら、わたしも船酔いしてしまい、ダウン。そのくらい揺れが酷かったってことで。

で、3時間のフェリーを終え、対岸に到着。

息つく間もなくバスに乗り込まないと、バスは発車の合図と同時に容赦なく発車していきます。トロトロしていたら置いていかれます。サバイバルレースのようです。

で、夜になったので消灯です。寝台バスですので、座席は最初から二段ベッドになっています。

わたしは下の段です。乾燥しているのか、上の段のオバさんは消灯前にうがいをしています。

“ガラガラガラガラ、ウゲー”

「お前、どこに吐いた、えー、お前、今、どこに吐いた?」

上の段から局地的な瞬間豪雨が降ってきました。バスの床は痰ツボと化しています。痰やらピーナッツの殻やらタバコの吸殻やら読み終わったエロ本やらバナナ
の皮とかなんでもありです。放っておいたらこいつらはわたしの靴の中にまで痰を吐きかねません。とりあえず、転がっているバナナの皮の上を歩いてスッテン
コロリンして、靴を抱いたまま就寝。

したかったのですが、今度は局地的な残飯が降ってきました。次は小便か? ウンコか? わたしはもう涙目です。何も見たくない、何も見たくない。いや、何が起こってもそれは夢なんだ、夢なんだ。

カビ臭い毛布にくるまり、無理矢理眠ろうとしたんですが、隙間風がピューピュー吹き、ガタガタ上下動するバスで、センシティブなわたしが眠れるわけがありません。我慢に我慢を重ね、朝8時、21時間不眠不休でようやく広州に到着。

と、こんな感じのアホな旅でした。

広州から香港までもバスで帰ってきましたが、豪華なバスでくつろぎすぎて眠ってしまいました。